銭湯を「大きな風呂」と考えず「大きな箱」と考える

「SAVE THE 銭湯!」 とは?
このWEBマガジンは各業界の先頭集団といえるクリエイターや有識者たちと、
銭湯の新しい価値を模索する銭湯集団・日の出湯との対談で成り立つコンテンツ。
毎週水曜日(最終水曜日はお休み)に更新しています。

VOL.1 対談 GUEST

  • 村尾隆介
    (ベストセラー『小さな会社のブランド戦略』著者)
  • X
  • 田村祐一
    (日の出湯経営者/SAVE THE 銭湯!主宰)

時代が変わっているのだから、
銭湯も変わっていかなくてはいけない

対談1 with 村尾隆介 WEEK3
銭湯を「大きな風呂」と考えず「大きな箱」と考える

この対談は前回からの続きです(前回のページは、こちら)。

ベストセラー作家であり、売れっ子ビジネスコンサルタントでもある村尾隆介さんが、もしも銭湯のオーナーだったら、どうするか? 最終回の今日の対談では、そんな具体的な話をお届けします。

お金がないならアイデアでいく

田村祐一 (以下 田村):
村尾さんの書籍で、『営業部は今日で解散します。(大和書房)』というユニークなタイトルなものがありますね。これはコストをかけずにアイデアだけで、商品・サービス・会社・お店のことを世に広げていくというネタ帳みたいなビジネス書ですね。

村尾隆介 (以下 村尾):
僕が今まで書いてきた書籍の中で、自分ではいちばんよく書けたと思っている作品で、ヘンかもしれませんが自分でも、すごく好きなんです(笑)。

田村:
そのノリというか、その路線でいったら、どうやって町の銭湯は自分たちのことを、コストをかけずにアイデアだけで広げていくことができるのでしょうか?

村尾:
「コストをかけず」にということは、「今現在、手に持っている武器を使って…」ということになるのですが、たとえば銭湯を「お風呂」ではなく、都内では珍しい「大きな空間」と考えてみてください。

田村:
銭湯といってもいろいろですが、たしかに天井が高く、都内では「大きい空間」といえるようなところもありますね。

つまり、「お風呂の提供」ではなく、「空間の提供」という発想の転換をしようということですか?

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「お風呂」ではなく「空間」と考えたら無限大

村尾:
そうですね。業界のルールや法律上のことは、この対談の段階では僕も調べきれていませんが、冒頭にお話したように、銭湯は今やはり”提案型”になっていく必要があります。
せっかく、これだけの空間があるのだから、企画力さえあれば、地域の方々にあらゆる”提案”ができるはずです。

たとえば、地元の小さな会社に向けてチラシをつくり、「銭湯で勉強会やミニセミナーを開催しませんか?」と提案する。

普段はスーツを着て一緒に働いている仲間が、気軽な格好で地べたに一緒に座って、銭湯の脱衣所で講師の話に耳を傾ける。それが終わったら、一斉にお風呂に入る。出たらビールで軽く食事に行く。

会社単位で難しそうならば、部署単位でも構いません。チームづくりに頭を悩ませているマネージャーや経営者は多いのだから、そういった方々の困りごとの解消を、町の銭湯が担うという提案を、こちらからする。プチ貸し切りみたいなものですね。

田村:
なるほど。社員旅行ではコストもかかるし、大がかり過ぎますね。でも、都内にある銭湯ならば、こんな感じでプチ社員旅行として、またオフサイトのミーティングの場や研修の場として、町の銭湯を使ってもらえるかもしれない。

こうやって企画を立てればチラシを配る場所も、いい意味で限定されますね。

村尾:
“広げる”という話になると、どうしても不特定多数の人に広く広げるという、あたかもゴールデンタイムに流すコマーシャルのように物事を考えがちです。
でも、それは町の銭湯にとっては簡単なことではありません。
だから、地域の一部の人に向けて広げていくという発想を持つことが大事です。
この場合は、地域の小さな会社の経営者やマネージャーたちに、銭湯の新しい活用法を提案し、銭湯の存在を広げていくという一例です。

田村:
でも、同じように「お風呂」ではなく「空間を貸す」という考え方で企画を練れば、地域のあらゆる層に向けて、同様にチラシをつくって提案を続けていくことができますね。

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どの部分で社会に貢献しているかを考える

田村:
村尾さんといえば社会活動家という顔もお持ちで、コンサルタントとしての社会貢献活動をクライアントに徹底して課すことで知られています。
最後に銭湯と社会貢献活動について教えてください。

村尾:
僕は現場に行って、汗をかきながら時間とエネルギーを使う”社会貢献活動”も重視していますし、もちろん”寄付”というスタイルの社会貢献も大切にしています。
でも、いちばん大事なのは経営者が、自分が毎日やっている事業を、どれだけ社会貢献型にしていけるかだと思っています。
世の中のすべての企業は、社会をより良くしていくために存在しているべきだと思います。誰かの困りごとを解消したり、誰かをもっとハッピーにしていくべきものだと思っています。
ですので、町の銭湯も今一度考えて欲しいのです。
今現在、「どの部分で自分たちは社会に貢献しているか?」ということを・・・

田村:
ここを考えると、また新しい銭湯像が見えてきそうですね。

村尾:
たとえば、見方を変えれば銭湯はエコです。
そんなデータがあるかどうか分かりませんが、地域の人が週に一度だけでも町の銭湯を使えば、水がどれだけセーブできるかなんていうことを、もっと世間に知ってもらえれば、銭湯はたちまち今の時代における社会貢献的な存在になり得ます。
また地域の年配の方が、毎日歩いて銭湯に来ることで、それは自然と足腰の強化になっているかもしれない。そこでのおしゃべりと社交が、心身をより健康に保っているのかもしれない。実に、いろんな角度で、銭湯は今も昔も、地域社会に自然と貢献している”社会貢献的な存在”なんだと思います。

そこを今一度しっかり考え、そして発信をしていって欲しいです。

田村:
僕は自分自身が”かっこいい銭湯経営者”になることで、この職業に憧れてくれる次世代をひとりでも多く生み出していきたいです。

村尾:
それも立派な社会貢献!
この対談も、そのひとつのステップですね。
素敵な機会を、ありがとうございました。

田村
こちらこそ、ありがとうございました!

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編集後記

「SAVE THE 銭湯!」第一回目は、小さな会社のブランド戦略の著者、村尾隆介さんにお話をお伺いしました。
村尾さんにお話を伺っていると、日々銭湯を経営しているだけでは、なかなか思いつかない銭湯の利用方法を聞かせて頂けました。
特に、銭湯は「クワイエット・タイム」を提供という点。お風呂に入っている時間を静かに1日を振り返る時間として捉えるということに、目からウロコが落ちました。
引き続き「SAVE THE 銭湯!」では各界のクリエイターの方々から銭湯の未来を創るアイデアをお聴きしていきたいと思います。
次号もお楽しみに!
SAVE THE 銭湯 Vol2は12月5日の配信予定です。

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田村 祐一

田村 祐一SAVE THE 銭湯!主催者

投稿者プロフィール

1980年東京都大田区生まれ。
東京蒲田にある大田黒湯温泉第二日の出湯の四代目、銭湯の跡取りとして生まれ育つ。
大学卒業後、家業である有限会社日の出湯に就職。26歳の時に取締役に就任。
2012年5月より創業の地である浅草にある銭湯、日の出湯のマネージャーとして銭湯経営再建に着手。
2012年11月、銭湯を日本の未来に残すプロジェクトの一環として銭湯の未来をつくるWEBマガジン『SAVE THE 銭湯!』を創刊。

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