スーパー銭湯と町の銭湯の差別化戦略

「SAVE THE 銭湯!」 とは?
このWEBマガジンは各業界の先頭集団といえるクリエイターや有識者たちと、
銭湯の新しい価値を模索する銭湯集団・日の出湯との対談で成り立つコンテンツ。
毎週水曜日(最終水曜日はお休み)に更新しています。

VOL.2 対談 GUEST

  • いずみ朔庵
    (和もの、時代物を得意とするイラストレーター)
  • X
  • 田村祐一
    (日の出湯経営者/SAVE THE 銭湯!主宰)

これからの銭湯は文化をつくっていくところ。

対談1 with いずみ朔庵 WEEK2
「スーパー銭湯と町の銭湯の差別化戦略」

「この対談は前回からの続きです(前回のページは、こちら)。
今週は、スーパー銭湯と、町の銭湯はどう差別化していけばよいのか?
いずみ朔庵さんの経験からくる意外なお話をお届けします。

二度楽しめる銭湯

田村祐一 (以下 田村):
ただお風呂に行くというわけじゃなくて、風呂に行く意義を創る、ということですね!(前回からのつづき)

いずみ朔庵 (以下 いずみ):
そうですね。
以前杉並区の小杉湯さんで、イラストを展示させていただいたことがあったんですが、小杉湯さんはお風呂に行くだけというよりは、お風呂に入る楽しみと、出てからも楽しめるようになっていましたよ。

田村:
小杉湯さんですか!?先日息子さんにお会いしたばかりです!

お風呂に入ったあとに楽しめるというのは、どういうことなんでしょうか?

いずみ:
小杉湯さんは、お風呂から出てすぐ帰る人がいなくて、待合室があって、そこでちょっと漫画を読んだり、ギャラリーもあるので、絵を見たりしてくつろいで帰る人がいらっしゃいました。
そういう意味で、お風呂に入ってる時間を楽しみ、入っていない時間も楽しめて2種類楽しめるという感じでしたね。

田村:
入っていない時間も楽しむというのはいいですね!
スーパー銭湯なんかは、入っていない時間も楽しめますよね、食事をしたり、マッサージがあったり。
スーパー銭湯と街の銭湯はどう差別化していけば良いと思いますか?

いずみ
街のお風呂屋さんはスナックに似てるんじゃないかなって思ってたんです。

vol2week2_1

街のコアな情報が集まる場所

田村:
スナックってお酒を飲むスナックですか??

いずみ:
はい。(笑)
近所に時々行くスナックがあるんですが、マスターの本業が画商さんという事も
あって、色々お世話になっています。
そのスナックは、地元の商店街にあって商店街のおじさんが夜な夜な集まって
その日にあったことを、あーだこーだと、毎日話してるんです。
チェーン系の居酒屋さんのように、ビールがあって、焼酎が何種類もあって、カクテルがあって・・・
というわけではなくて、ビールは1種類、焼酎も1種類、おつまみもそんなあるわけじゃない。
でも、毎日あつまって、そこで話してるんです。

田村:
なるほど、スーパー銭湯はチェーン系の居酒屋さん、町の銭湯はスナックということですね。

いずみ
そこのスナックは、地元の人が交流する場として機能しているなぁって。
地元の人しか知らない話もあると思うんですよ。
「どこそこのお店が美味しい!」とか、
「あそこのランチが値下げした!」
「田中さんちのタマが子猫を産んだ!」とか。
そんな会話が日々繰り返されていましたね。

田村:
スナックってものすごい地元のコアな情報がやり取りされてるんですね!
街の情報交換所みたいなってるんですかね?

いずみ
そこにコミュニティができているんですよね。
もうすでになってるかもしれませんが、銭湯もそうなったらいいんじゃないかって。
番頭さんがマスターになって、集まってくる情報をお客さんに提供する。
お風呂屋さんって人が集まるところだから、地元の方が交流する場として機能することができたら
スーパー銭湯との差別化ができるんじゃないかなって思います。
番頭さんの腕にかかってきますよ?(笑)

Vol2week2_2

人が集まるところだからこそ、できることがある

田村
そ、それはプレッシャーがかかりますね。(汗)

いずみ:
お風呂屋さんって昔から人が集まるところですからね。
昔は、病院の看板とか、近所の美容院の看板とか、映画のチラシとか・・・。
いろいろあった気がします。
そういうのありませんでしたか?

田村:
ありました!富士山のペンキ絵の下に金物のシンプルな看板ありました!
「レモンサワーがいまナウい!!お食事処みすず」
みたいのがありました(笑)

いずみ:
ものすごいローカルな情報ですよね。
例えばそういうのを復活させてみるのってどうでしょう?
と言っても、ただ昔の看板を作るのではなくて、
例えばフリーペーパーとしてお店で見れるようにしたり、
それをそのままネットでも見れるようにしてみたりとか・・・

田村:
お店でも読めて、ネット経由でも見れるローカルネタフリーペーパー!
それいいですねー!

いずみ:
TwitterやFacebookのような文明の利器も使いながら、昔あったもの現代に合う形でマッチさせていくのはどうでしょうか?

田村
地元のコアな情報を文明の利器を使って、現代風にアレンジ。

ただ、フリーペーパーというだけでなく、いろいろと工夫していくということですね!

Vol2week2_3

いずみ朔庵 イラストギャラリー朔庵亭

先週に引き続き、インタビューさせていただいてるいずみ朔庵さんのWebギャラリー
朔庵亭
素敵な和風イラストや時代物のイラストがたくさん。
時代考証を理解・勉強されているので、今回の対談でも江戸の銭湯についてもたくさん学ばせていただきました。
素敵な、作品が沢山ありますので、ぜひ一度ご覧になってください!

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田村 祐一

田村 祐一SAVE THE 銭湯!主催者

投稿者プロフィール

1980年東京都大田区生まれ。
東京蒲田にある大田黒湯温泉第二日の出湯の四代目、銭湯の跡取りとして生まれ育つ。
大学卒業後、家業である有限会社日の出湯に就職。26歳の時に取締役に就任。
2012年5月より創業の地である浅草にある銭湯、日の出湯のマネージャーとして銭湯経営再建に着手。
2012年11月、銭湯を日本の未来に残すプロジェクトの一環として銭湯の未来をつくるWEBマガジン『SAVE THE 銭湯!』を創刊。

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